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トランプ大統領当選翌日の朝刊の社説を読み比べてみた トランプへの期待度は6紙でどのような違いがあるのか

ドナルド・トランプ、アメリカ大統領当選が決まりましたね。

トランプ当選翌日11月10日の主要新聞6紙の朝刊の社説を読み比べてみました。

各紙で言っていることがそれぞれ微妙に、というか、けっこう違っていて。具体的にどう違っていたかを見ていこうと思います。(あ、一応主要6紙とは朝日、日経、読売、東京、毎日、産経のことです)

 

あと、あくまで僕の主観から比較、違い、共通点を述べていくので、「そこの汲み取り方間違えとるよ」ということもあるかもしれません。あくまで、参考までにこの記事は見てください。

 

じゃ、張り切っていってみよー

 

 

トランプへの期待値

各紙、主張の軸がバラバラで一つの切り口から見ていくのは難しいんですが、とりあえず「トランプへの期待度」という点で見ていきたいと思います。

僕が見たところでは、期待度が高い順に

 

 

①東京

②読売
③産経
④毎日
⑤朝日

んで、傍観的な立ち位置にいるのが 日経

という印象でした。

 

まず、

東京新聞

 まず、現在のアメリカ社会は民主主義国家として不健全なほど貧富の格差が広がっているとデータを元に指摘。展望の開けない生活苦に苦しむ人々が現状打破への期待を持ち、トランプに投票を行ったと分析しています。

 しかし一方、トランプ氏が「封印されていた弱者や少数派への偏見、差別意識を解き放った」ことで、多民族国家米国の分断を進行させたとしっかり指摘し、トランプ氏の数々の問題発言を拾う目配りもしています。そしてその上で、「国民が再びアメリカン・ドリームを追うことのできる社会の実現をトランプ氏に期待したい」という一文で締めています。

 主要6紙の中で、一番トランプへの期待度が高い社説ですら、トランプが国家の分断を進行させたことに対しては、しっかりと釘を刺しており、手放しで期待できるというニュアンスは全くありませんでした。この選挙戦によってあらわになった、アメリカ国民の閉塞感に目を向けるべきだ、という主張の方が前面に押し出されていた印象です。

 

産経新聞

一言で言うと、『日本が、頑張ろう』

TPPに関しては「自由貿易拡大の理念を貫徹するよう、日本は働きかける必要がある」

安全保障に関しては「日本の経費負担の現状や在日米軍の持つ抑止力の意義について誤解を解く努力を重ねるべきだ」

とりあえず、現状の日米の外交、防衛政策の方向性を揺らがせないように、日本が頑張ってトランプ氏を説得しよう、というのが産経新聞の言いたいことだと思います。

トランプ氏が日本側の主張をある程度聞いてくれるほどのリテラシーを持ってくれている、と考えているようなので、期待値けっこう高めだな、と思い、産経新聞を2番の順位に入れました。(言って聞く相手なのかは甚だ疑問なのだが)

 

③読売新聞

「トランプ氏は、公約の正しさが評価されたのではなく、「反クリントン」の波に乗って勝利したことを自覚すべきだ」と、勝てたのはお前の実力じゃねえぞ、としっかり釘を刺す読売新聞。トランプさんが勝ったというより、クリントンさんが「説得力ある政策と展望を提示」できなかったために、勝手に負けたんだ、という趣旨でした。

「大統領就任までにトランプ氏は優秀な専門家を周辺に揃え、実行可能な政策を練り上げる必要がある。(中略)選挙戦で袂を分かった党主流派や重鎮には、トランプ氏の「暴走」を抑えながら、支えていくことが求められよう」

とりあえずトランプ氏が暴走することは前提だから笑、周りがしっかり押さえろよ、と主張するのが読売新聞さんです。

 

下位2紙が『トランプほんとに大丈夫か?』というニュアンスが強すぎて、まだ周りが暴走を止めてくれることを期待している読売が期待度3位に。まあ、暴走が前提な時点でどうなんだ、と思いますけどね。

 

毎日新聞

毎日新聞の主張は、見出しのこの一文に尽きると思います。「世界の漂流を懸念する」。

毎日新聞は、「トランプ氏の方針は国内外の将来を一気に不透明にした」と打ち出しています。具体的に言うと、イスラム教徒の入国禁止、オバマケアの廃止、TPPやパリ協定への断固反対などの政策です。毎日新聞が懸念するのは、これらの政策が「従来の秩序を破壊した後にどう再建するのか、その道筋が見えにくい」ことです。スクラップした後に何をビルドするのか、その具体策を示してほしい、というのが毎日新聞の主張です。

この後の世界がどうなるか全く見えない、と不安感を露わにし、トランプ氏を「怪物」とこの社説の中で呼ぶほどの警戒ぶりを見せている毎日新聞を期待度4位にしました。さて、これより期待度が下の朝日さんはどんなことを書いているんでしょうか…?

 

朝日新聞

冒頭で、「「内向き」な米国の利益優先を公言する大統領の誕生で、米国の国際的な指導力に疑問符がつくことは間違いない」とし、これまで戦後の国際秩序を引っ張ってきたアメリカの影響力に曇りがつくだろうと予言しています。

また、「日本を含む主要な民主国家が、どれだけ結束できるかも問われよう」とも書き、アメリカに求めるのではなく、むしろ他の国がどれだけ結束できるか、が大切だとしています。こうした、現在の民主国家の繋がりを今一度見直す、という視点は他の5紙の社説にないものでした。

圧巻なのは、最後の一文。「トランプ氏を、世界にとって取り返しのつかないリスクとしないために」。トランプ氏が、世界にとって取り返しのつかないリスクになる可能性がある、とはっきり明言しています。ここまでストレートに、かつあからさまにトランプ氏への不安感を表した社説は他になく、そのため期待度は最下位の5位としました。

 

 

<傍観> 日本経済新聞

日本経済新聞を、傍観という位置に置いたのは、この新聞がトランプ氏への判断を棚上げにしているからです。「(トランプ氏は)数々の暴言で物議を醸してきた人間だけに内外に大きなきしみを生みかねない。ただ、ひとりの指導者の言動ですべてが左右されるほど国際情勢は単純でもない。まずは冷静に新政府の進路を見極めたい」とし、とりあえず今後実際に何をしていくつもりなのか、冷静に見極めようと主張しています。先行きが見えないからまずは分析が必要だ、というわけですね。

その後、まずアメリカがすべきは社会の分断を止めることだ、としています。そして、トランプ氏が現在主張している政策の予想される問題点を指摘し、合わせて日本に与える影響(TPP政策の練り直し、日本の防衛力強化など)を論じています。

最後に、「世界に更なるポピュリズムの風を吹かせるだろう」としつつも、日本がその風に飲み込まれないよう、民主主義国家としての基盤を強めていくことが必要と述べています。

 

 

とりあえず、各紙をトランプ氏への期待度順に並べ、大まかに社説の内容を説明しました。皆さんの、アメリカ、トランプについての議論のたたき台になることを祈っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。なにか、疑問点、コメント、文句ありましたら、コメント欄までお願いします。