斎藤孝「斎藤孝の速読塾」 話上手になるための速読術
「斎藤孝の速読塾」を読んだ。
この本は、速読術の説明の前に、読書の目的をしっかり解説することから始めている。
まず、読書は
他者理解(自分の主義主張だけにこだわることなく、他者の意見を受け入れようとすること)のためにある
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そのためには、多くの知見を得て、自分の理解の範囲を広げることが必要
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そのために、より多くの本を読み、自分の考えとして蓄えることが必要
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そのために、素早く、内容をいつでも自由に引き出せる読み方を習得する必要がある
という流れで、速読の必要性を説いている。
その次に、速読とは、インプットとアウトプットからなるものと定義し
①全体のうち2割の重要部分を汲み取り、それ以外は読み飛ばすこと(インプット)
②その重要部分を要約し、自分の価値観を加えて発信すること(アウトプット)
としている。
そして、①のインプットの際には
●著者の立場になって、寛容な視点で読むこと
●客観的に重要と思われる部分と自分の価値観とヒットする部分をメモすること
大きく言うとこの二点を行う。
以上一連が斎藤孝の言う、速読術である。
私はビジネス系の速読術にアレルギーを持っている。なぜかというと、効率、成果を重視し、とりあえず要約してればよし。という考え方が大嫌いで、ビジネス系の速読術はこれをとにかく推奨している、という先入観を強く持っているからだ。(もしかしたら不当かもしれない。いや、たぶん不当なんだろうな…。とりあえずビジネスライクが嫌いなんです)
それで、斎藤さんはどうかというと、ビジネスライクの速読術の合間合間に小説のような、全体の文章の雰囲気を楽しむ感覚を肯定してくれている。必ずしも自分が定義した読書を全てとせず、全体を読むからこそ感じれる読書の楽しみがあることを含ませてくれる。
だから、好きになったし、速読術への偏見も少し溶けた。
また、この本の構成として
●重要部分は太フォントがほどこされている
●速読の目的を最初にしっかり定義している
このおかげで、重要な説明と枝葉の部分の判別をしやすい。この本を速読しようとする人にも初心者用の書籍として使える仕様にもなっている(笑)