ナンパと評論をごった煮にすると謎肉になります

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「生活保護なめんな」ジャンパーは、何が悪いのかという素朴な疑問を、ロゴを写しながら考えてみた。

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小田原市の市職員の「なめんな」ジャンパーの着用は何が悪いのだろう?と思っていたらこんな記事を見つけた。

nariblog.com

 

実際、このジャンパーを市職員の間だけで着ているのであれば特に問題はなかっただろう。今回の問題は、受給対象者が見る可能性の高い世帯訪問の際にこのジャンパーを着ていたことだと思う。

 

 

私の印象だが、このジャンパーのような強いメッセージがプリントさせた衣類を集団で揃えて着るのは、集団で結束の意思を強めたい時だと私は思っている。クラス行事やサークルでつくるTシャツのように。

ネットの産経新聞のニュースによると、このジャンパーを作るきっかけは、2007年の受給者による傷害事件だったらしい。

市によると、ジャンパーは19年7月、生活保護の受給資格を失った男が同市役所で、職員2人をカッターナイフで切り付けた事件を機に、当時の担当係長の発案で作った。

<2007年事件後の小田原市役所の様子>

係長:秘書子くん、あのカッター事件以来、職員の様子がどうもぎこちない気がするんだけど、君はどう思う?

秘書子:そうですね、皆不正受給者への対応がどことなくぎこちなくなってる気がしますね。

係長:ここは、係長である僕が率先して、みんなを勇気づけたいんだけど、何かいい方法でもないか…

秘書子:おそろいの服でも作ればどうでしょう?大学のサークルっぽいですけど、結束も固まりそうですし。

係長:ちょっと物足りないなあ。例えばそこに、「我々は、不正受給を許さない」みたいなメッセージをつけたらどうだろう。そうすれば、私たちは今回の事件があっても、断固抵抗するぞ、という意思も皆に伝わるだろうし。

秘書子:ちょっと過激な気がしますけど、そこまでやった方がみんな勇気も出るでしょうしね。いいんじゃないですか。

<以上、すべて僕の推論>

 

というように、不正受給は許さない、という意思のもと、自分たちの結束を強めることで自分たちを守りたい、という思いから生まれたのではないか、と私は推測している。

 

ここまではよかった。問題は、受給者への訪問に、そのジャンパーを着ていったこと。気遣いが足りないと僕は思う。

 

例えば、僕が生活保護受給者だった場合。職員の訪問を待つ心情は、不安と緊張でいっぱいだと思う。「本当にお金をもらえるのだろうか」「自分なんかがもらっていいのか」「人様に知られたらなんと言われるだろう」といった思考が止まらずに。

そんな中で、市職員が「不正受給を許さない」と書かれたジャンパーを着てきたら。例え頭で自分が受給条件を満たしているとわかっている人でも委縮してはしまわないか。「もし何かの間違いであとから自分が受給条件を満たしていないと言われたらどうしよう」といったように。

この感情は多分、警官を僕らが見た時に、ついつい構えてしまうようなものだと思う。特に悪いことをしていなくてもどことなく警戒してしまう、あの感じだ。

 

あのジャンパーの存在自体、私は悪だと思わない。職員が役所内で着ている分にはいいだろう。しかし、これを着て受給者のもとに足を運ぶのは、想像力が欠如し、配慮に欠けている行為だと思う。