読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ナンパと評論をごった煮にすると謎肉になります

ナンパの計画と書評について書き込んでいくブログです。時々時事ネタ入れます。よろしくお願いします

自己を見据えさせてくれる他者 朝井リョウ「何者」 19夜目

読書 感想 2016 読書 感想 新潮社

こんにちは。マシマシでっす。

今、映画化で話題の朝井リョウ「何者」読みました。今度、映画についても感想書きたいと思いますが、今日は小説のみ。いつものように、ネタバレ込みで、感想行きます。

 

 

<あらすじ>

拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良の5人の就職活動の物語です。

主人公拓人が内定が取れないなか、瑞月、光太郎と周りがどんどん内定を取っていきます。表では祝いながら、twitterでは仲間のことを分析し、嗤っている主人公に、同じく内定の取れない理香が、そのtwitterのことを指摘し、観察者ではなく理想の姿を見据え、そのギャップに苦しみながらもあがく者になるしかない、と伝えます。

 

他者がいることでできる、自己との対話の物語だと思いました。

主人公の拓人は、物語終盤で、理香から、今までの自分の観察者としての行動を否定されます。twitterに、自分では鋭いと思っている周りの人への評価をtweetする行為をです。「誰かを観察して分析することで、何者かになったつもりでいるんだよ」と図星を突かれます。

僕は、これを指摘してくれる理香がいたことが、拓人にとって幸いだっと思っています。そして、理香にとっても、拓人がいたことが幸いだったと思っています。なぜなら、自分と対話して、自分が今本当は何をしたいか、その実現のために今何をすべきかを考えることって、とても難しいことだから。そして、拓人にとって、それを可能にしてくれたのは理香で、理香にとって、それを可能にしてくれたのは、恐らくですが、拓人だから。

拓人と理香はとても似た者同士だからこそ、初対面から相手の「嫌な奴オーラ」を嗅ぎ取った。だからこそ理香は拓人の裏垢を突き止めることができた。それがラストの、理香⇔拓人の会話に繋がっていきます。そして多分、これは推察ですが、拓人の裏垢を見たからこそ、理香は「他人分析」tweetをせずに済んだ。人の振り見て我が振り直せ、と言いますか。その行為の醜悪さを見て自分をそこまで落とさずに済んだ。

拓人が物語ラストで、自分と向き合えたのは、理香がいてくれたからこそですよね。実は、とても似たもの同士だった理香が。実は似た内容のことを、瑞月→隆良で言われているのですが、拓人は自分事だと気づけません。それほど、自分のことに気づくのは難しいということだと思います。